最初に、言葉の定義として苦とは「苦しむ」ことではなく「思うようにならない」という意味で話を進めますね。
☆ 人生の「四苦八苦」は半分にできる。
最初の「四苦」とは、根本的に人間が避けることのできない「生・老・病・死」の4つの宿命を意味します。どうあがいても、誰も決して逃れることのできない必然的な定めです。
もう一種類の「四苦」とは、人間が人間として生きていくうえで味わう、次の4つの苦しみ。
・欲しいものが手に入らない「求不得苦(ぐふとくく)」
・愛する者と別れなければならない「
愛別離苦(あいべつりく)」
・嫌な人と出会ってしまう「怨憎会苦(おんぞうえく)」
・世の中はままならないものだという「
五蘊盛苦(ごうんじょうく)」
合わせて「八苦」と言う意味になるのです。
後者の「四苦」は前者の「四苦」とは本質的に大きく異なります。
「自分の心をうまくコン
トロールすることによって、解決できる苦しみ」だということ。これで人生の八苦のうち半分をなくすことができるのです。
☆ 心の針(
メトロノームのような針)の動きが人生を左右する。
心のなかに“針”があると思ってください。針は、あなたの心の動きにしたがって右へ左へと行ったり来たりしています。何かいいことがあったり、気持ちが満たされたりすると、心の針はプラスのほうに振れます。
かたや、怒りや不満でイラッとしたり、ムッとしたりすると、その瞬間、心の針はマイナスのほうに振れます。
☆ 四苦八苦の克服法
欲しいものが手に入らないときには、その存在を忘れてしまいましょう。「手元にないもの」や「手に入らないもの」について悶々と考えることをキッパリとやめ、かわりに「手元にあるもの」に焦点を当てて感謝しましょう。これは「知足」、つまり「足るを知る」という仏教の教えにも通じます。
愛する人との別離は、受け止めがたく苦しいものですが、この世のすべては
諸行無常であり、
会者定離(えしゃじょうり/この世で出会った者とは、必ず別れるときがくる運命にあること)が人の世の定めです。出会えた意味を考え、それに感謝しましょう。
社会に出れば、嫌な人、苦手な人と出会ってしまうことも必然です。イラッ、ムッというネガティブな感情にとらわれることなく、「なぜ、自分はこの人のことが苦手なのか?」「どうすれば好きになれるのか?」「このご縁に向き合うことで、自分はどう成長できるのか?」このように、ポジティブな発想転換をはかりましょう。
そして、世の中はままならないものです。人生は自分の思いどおりにいかないことの連続ですが、そもそも、自分がコン
トロールできるのは自分だけ。自分以外の他者や外的状況をコン
トロールすることは不可能です。「思いどおりにしたい」という驕りを捨て、心の針をプラスへ向けながら、周囲と調和して謙虚に生きることで、人生の苦しみはぐっと軽減します。
☆ 「運の良しあし」で人生を決めてしまってはいけない。
人生の「運の良し悪し」は、実体のないあいまいなもので、神通力に頼る他力本願的なものでもありません。ある意味、各人の“諦めの思い込み”のような所があります。
運とは、「運ぶ」という漢字を書きます。これは、幸運や不運が、ある日突然に立ち現れるものではなく、脈々と続く流れによって運ばれるものであるということを表しています。
つまり、いまの自分の心が、明日の自分が運ばれる方向を決めるということです。よい方向、悪い方向、自分の未来がどちらへ運ばれるかは、いまの自分の心次第なのです。
☆ 嫌な事があっても、プラスに戻す努力が必要だ。
ときには、理不尽な不幸や悲劇に見舞われることもあるかもしれません。しかし、そこからどう立ち上がるか、どう希望を見いだしていくかは各人の心次第です。
最初から「できない」と決めつけていては、変化や成長はありません。できなくても諦めずに、コン
トロールしようとする努力を“継続する”ことに意味があるのです。
今日より明日、明日より明後日……と努力を続けていると、だんだんと、マイナスが定位置となっていた心の針が少しずつ真ん中のほうへ、そして真ん中からプラスのほうへと振れはじめます。
釈迦が説いた「人間の4つの生き方」
釈迦はかつて、「人間には4種類の生き方がある」という話を説きました。
・光から光へと生きていく人間
・光から闇へと生きていく人間
・闇から闇へと生きていく人間
・闇から光へと生きていく人間
光というのは、人間が理想とするべき生き方。つまり、明るい光を求め、心の針がつねにプラスの方向を目指している、前向きでポジティブな生き方です。
闇というのは、怒り、恨み、憎しみ、悲しみの気持ちにとらわれ、心の針はマイナスが定位置となったネガティブな生き方。つまり、人間としての成長を妨げる生き方です。
今日から“心の針”の存在を意識してみてください。そして、その針がつねにプラスに向かうように心がけてください。針がマイナスを向いたことに気づいたら、すぐに元に戻す努力をしてください。これが、人生の苦しみを半減させる極意です。
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『歩くだけで悩みを忘れる 歩行禅のすすめ』より
著者は1300年の間に2名しか満行していない
千日回峰行を達成した方です。
座禅とは違う歩行禅。歩いている時って一瞬【無】に成っている自分を感じる時ってありませんか?(散歩や買い物、仕事に集中している時も同じですが)
至らない点があるかもしれませんが、良いお話だったので今回私なりに纏めてみました。