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メチルアルコールは飲むなよ




 私は戦後ちょっとして生まれました。もの心ついた頃、安サラリーマンの父がテレビを買ってきてニュースをよく見ていました。今でも記憶に残っているのですが、戦後お酒もろくに無い時代に質の悪い工業用アルコールを飲んで失明する人が続出した。というニュースが流れていたのを今でも覚えています。やっと見つけたお酒も購入しようとしても高価で庶民の手にはとても入らなかったのですね。


ここでアルコールの基本です。

*** 昔懐かしいアルコールランプの燃料はメチルアルコール(略してメタノール)工業用のアルコールです。猛毒です。失明します。
*** お酒はエタノールです。


無知なのん兵衛が学校の理科の実験室に忍び込んでアルコールランプの液を飲むケースもあったと聞きます。昭和30年前後だったと思いますね。昔懐かしいアルコールランプの燃料はメタノール

そこでそのアルコールについて調べて見ました。
エタノール(お酒)は体内で代謝されることによって、アセトアルデヒド→酢酸へと
変化していきますが、

同様に工業用メタノールは体内でホルムアルデヒド→蟻酸へ変化します。
この時生成されるホルムアルデヒド・蟻酸は人体にとっては猛毒となりますので、工業用メタノールを誤飲すると最悪死亡することもあるわけです。
死ななかったとしても、失明する可能性は極めて高いのですが、その理由としてアルコール脱水酵素(工業用メタノールホルムアルデヒドにする)が肝臓に次いで眼球の網膜に多く存在することが原因です。
では何故、眼球にアルコール脱水酵素が多いのか?


視覚のメカニズムについても説明します。
網膜では外界からの光を感知し、それを脳に伝えて映像化するための処理が行われていますが、この処理は全て化学反応で成り立っています。

その反応は緑黄色野菜の栄養素として有名なβ-カロテン、これを真中から真っ二つにすると2つの「レチノール」というアルコールになります。

網膜ではこのレチノールをアルコール脱水酵素が脱水して「レチナール」というアルデヒドに変え、このアルデヒドを変形させたものを視細胞内で光と反応させることで「光を感知」しています。

つまり光を感知するためには「レチノール」→「レチナール=アルデヒド」というアルコールをアルデヒドに変化させる反応酵素が必要不可欠なわけです。

当然、工業用メタノールも体内では脱水酵素が多く存在する眼球でホルムアルデヒドに変化し、その際に視細胞が破壊されてしまうので失明するという事になります。



工業用メタノールを誤飲した場合は「エタノール(酒)を飲ませると、失明の危険性が低下」します。ややこし・・・
体内の代謝優先度は、エタノール(酒)>>メタノールなので、エタノール(酒)を分解している間に、メタノールは分解されず肺から呼吸で外に放出されます。
もっとも、全く分解されないわけではないですが。急性アルコール中毒の可能性が高まることから、病院に直行は避けられませんが。


と言うことで、ちょっとややこしいですがご理解いただけましたでしょうか?ゆっくり理解してくださーい。


余談 )
1 最近のニュースで(2014年03月辺り)ロシア東シベリア・ザバイカル地方の村で、住民らが酒を飲んだ後に次々と倒れ16日までに14人が死亡、12人が重症となった。酒に劇物の工業用メタノールが混入、中毒が原因とみられる。 MSN産経ニュース

2 昨年10月に起きたインドの密造酒死亡事故
インドでは、メチルアルコールの他、殺虫剤などの化学物質が入った安い密造酒の販売が横行。インドで密造酒の値段は、市販の酒の半額以下で、貧困層がこうした酒を飲み、死亡するケースが多いということです。(2013年)


おまけ)自動販売機の下に不審な缶が置いてあった場合も同様、絶対に飲まないようにしましょう。お酒でなくても。

それでは本日はこれまで・・・。







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