韓国大統領が「脱原発」を宣言!
「新規原発の建設計画を全面白紙撤回」
大統領の文在寅 |
韓国で新大統領が選出されたのが 2017 年 5 月。新大統領の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、6 月 19 日、釜山郊外にある古里(コリ)原発1号機の運転永久停止にあたり、現地で演説し、「脱核国家」に向かうと宣言した。
演説内で大統領は、「福島原発事故は原発が安全でもなく、低コストでもなく、環境にやさしいエコでもないという事実を明らかに見せつけました。」
「私は先の大統領選挙において安全な大韓民国を約束申し上げました。セウェル号以前と以後では全く異なった大韓民国をつくりあげると約束しました。
安全な大韓民国はセウェル号のこどもたちと結んだ堅い約束です。・・・設計寿命の尽きた原発稼動を延長することは船舶運航の船齢を延長したセウェル号と同じです。」
などと語り、
「健康なエネルギー、安全なエネルギー、きれいなエネルギー時代に進みます。国民の安全と生命を最高の価値と考える安全な大韓民国をつくっていきます。」と、国家エネルギー政策の大転換を宣言している。
今年の1月には、台湾の蔡英文政権が、脱原発を実現するための法案として電気事業法改正案を成立させた。その契機も、福島原発事故であった。
台湾・韓国ともに、民主的な政権の成立と同時に、福島原発事故を反面教師とし、再生可能エネルギーをめざす世界の趨勢を鑑み、政策の大転換を打ち出している。
一方、その事故の当事者である日本では、安倍・自公政権のもと、川内・伊方・高浜と再稼働が順次進められ、3.11 以前の「原発安全神話」を復活させようと政・官・財・学・メ
ディアなどの原子力ムラが蠢いている。
事故が起きても変えようとしない経済政策・安全保障政策を隠れ蓑にして変化を拒否している。
歴史に学ぼうとする台湾・韓国の新政権に対して、歴史に学ばず、背を向ける日本。同じ東アジアに足場をおく日本の周辺国2つが、政権交代とともに大胆な政策転換を打ち出したのだ。
日本でもできるさーといった信念のもとに取り組んでいくしかないのではと日々思っている。信念をなくしたら負けであろう。
韓国を出発し約 2 年をかけてローマをめざす【生命・脱核シルクロード行進】の李元栄(リ・ウォンヨン)さんが、現在、佐賀県から長崎県を歩いている。
李さんが、佐賀新聞のインタビューに、「日本は世界で唯一、原爆被害に遇い、福島原発事故も経験した。なのに大きな運動の起こりを感じない」
「日本の技術力を廃炉事業に生かせば、世界で大きな役割を担えるはずなのに」と答え、残念がっているという。李さんの粘り強い歩みに元気をいただくとともに、その期待にも皆で応えたいものである。