グローバルメニュー

台湾の元日本兵への償い ②・・・あまりにも安すぎる。


台湾の元日本兵への償い ②


洪坤圳(こう・こんしゅう)さん

払い戻しのない軍事郵便貯金の通帳を見せる洪坤圳さん(1995年)。その後こうした「確定債務」はわずか120倍の金額で払い戻されることになった


取材させてもらった30余名の台湾人元日本兵の遺族や傷病兵のうち、印象に残った人を挙げてみる。





まずは、洪坤圳(こう・こんしゅう)さんである。彼は「日本精神」とあだ名されていたが、「日本精神」とは勤勉で正直で責任感が強く、約束を守ることだという。






戦後の反戦平和教育を受けていたわたしは、植民地には抑圧や強制しかなく、いまの韓国や中国のように台湾のほとんどの人たちも反日なのだろうと思っていたので、大変な驚きだった。






洪さんは復員から2年後に結婚し4人の子どもに恵まれた。そういう洪さんの生きざまを見て育った子どもたちも真面目で、いまは大家族に囲まれて幸せな老後を送っている。






つらい話が多かったなかで、洪さんの人柄やその後の人生はわたしの救いであった。






台湾にある「日本精神」が気になって、10年後の1995年にもう一度彼を訪問した。眉間のしわは前にもまして深くなっていたが元気で、詳しく話が聞けた。





洪さんは10人兄弟姉妹の3番目で、国民学校卒業後16歳で草屯農業専修学校へ入学する。ここは当時でも珍しい学寮(全寮)制で、日本人と共に団体生活を送った。






日本人の先生はみんないい先生で差別もなかった、と言い切る。寝食を共にし、個人よりも「公」を大事にする日本精神が身についたのだという。ここまでがんばってこれたのは、学寮生活で鍛えられたおかげだと。


Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...